Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
牛込の家には、種々な知人が集っていた。そこで戦地から帰って来た友達にも逢った。君は、私がまだ信州に居た頃、従軍記者として出掛けたのであった。
「電話で一つ聞き合わせてあげましょう。皆川という医学士が大学の方に居ますが、この人は小児科専門ですから」
こう主人は気の毒がって言ってくれた。
丁度戸山には赤十字社の仮病院が設けてある時であった。皆川医学士が、臨時の手伝いとして通っていると言って、戸山からわざわざ私の家へ見舞に寄ってくれた頃は、お繁は最早(もう)床の上に冷たく成っていた。
東京の郊外へ着く早々、私達は林の中にでも住むような便りなさを感じた。同時に、小諸でよく子供の面倒を見てくれた近所のシッカリした「叔母さん」達を恋しく思った。あのお繁が胸を突出すような真似をして見せたのは、漸く私達にその意味が解った。口のきけない子供は、死んでから苦痛を訴え始めた。
今更仕方がなかった。そして口説(くど)いてなぞいる場合では無い、と私は思った。幼児(おさなご)のことだから、埋葬の準備も成るべく省くことにして、医者の診断書を貰うことだの、警察や村役場へ届けることだの、近くにある寺の墓地を買うことだの、大抵のことは自分で仕末した。