Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
二
「何日、江戸へ来たんですか」
「二月ほど前」
「そんなに前から? ……」
「お養母さんは、達者か」
「達者で困るくらい」
「お前は、痩せたなあ」
「そう、癆咳だから……」
と、お菊ちゃんは澄まして云った。
二
「何しに江戸へ来たんですか」
お菊ちゃんの質問に、
「お供をして――」
と、桂が云うと、
「誰のお供?」
「知らんのか。江戸の女は、啖呵は切るが、時勢には暗いな」
「ええ、どうせ左様でございますよ」
「京都の女なら、芸妓、仲居までが、攘夷とは、どんなものか。京洛には、今誰が来ているか、政変や、大官の往来などにも、関心を持って、多少社会の推移ぐらいは、分からぬながらも考えているが、江戸の人間と来てはいやはや……」
お菊ちゃんは、耳の穴へ、指をかって、
「関東の棚下ろしはもう沢山」
「ははは、負けん気ばかりは持っている」
「憎らしい人たち。――露八さん、何とか云っておやんなさいよ」
露八は、考え込んでいた坊主頭を上げて、
「云い分はありません。まったくです。江戸の女も、江戸の男も、いけないなあ」
「あれ、お前さんまで、そんなことを云ったひには、江戸方は、立つ瀬がないじゃないか。口惜しいね。