Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
……桂さんだって、武市さんだって、書生ッぽ時代には、さんざん、江戸のご厄介になって、私の家にだって、まだ、借金の帳尻が残っているんですよ。昔の恩は忘れて、そんなこと云うなら、すぐ払っていただきましょう」
武市が桃井春蔵の道場に煤ぶっていたころのことだの、桂が斎藤塾の塾長をしていた貧乏時代のことだのを、お菊ちゃんは知ってるだけ、棚下ろしをして、溜飲を下げた。
「ははは、あははは」
二人は、むしろ、そんな回顧的な話を、他人事みたいに、愉快がって、
「昔の借金など、もう棒消し棒消し」
「嫌ですよ。利子が殖えていますからね、そのおつもりで」
「俺たちが、天下を取ったら、お墨付で払ってやる」
「桂さんと来たら、相変らず、大きなことばかり云っている。……あ、話が反れちまった。一体、お供をしてとは、誰のお供をして来たんですか」
「ご勅使、大原卿の、供の内に加わって、後月から参っているが、ご逗留が永いので、吾々は毎日欠伸だ」
「嘘ばかり云っている」
お菊ちゃんは、騙されない。
「――あんた方が、何で、おとなしく、お公卿様のお供になど従いていられるものですか」
「いや、桂はちがうが、拙者だけは、ほんとだ」