Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
「桂さんから、口止めされているのだけれど貴方にだけは、話してしまう。――実は、桂さんと武市さんが、お牢屋を破って、勤王方のお武士を一人、家へ預けに来たんです。お養母さんの留守の間なので、私の部屋の押入れに、幾日も匿しておいて上げたが、江戸の周りは、このごろの物騒で、木戸は殖えるし、各藩の警備隊が屯しているので、尋常な手段では脱け出せないというんです。そこで家の子飼からの船頭に、お金をたくさんやって、そのお侍を船底に隠し、斧四郎旦那とお喜代さんを、千鳥聴きに誘い出したという理ですよ」
「ふーム」と、驚いた眼をして――「そんな策略があったのか。じゃあ、台場隊の巡邏を思い出すと、ぞっとするだろう」
「病身だと、いつでも死ぬ覚悟をしているから……。それより私の智恵はどう! ……。女楠木と云ってもいいでしょう」
「女は、大胆だ」
「怖い?」
「怖くもないが」
「臆病な人。あなたは武家くずれだというけれど、志士にはなれない」
「とても、駄目だ」
「自分を知っているのは偉い」
「して。……その牢を破って逃げて行った侍というのは、一体、若いのか、老人か」
「まだ、若い人」
「藩は」
「一ツ橋家のご家来ですって」