Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
北方と違って、風呂嫌いの城介も、一日一度ぐらいは体を洗い流さねば、じとじととして気持が悪い。何か雑談をしながら、加納はふと城介の腕に眼をとめた。あきらかに注射の痕がたくさんある。
「お前、それ、何の注射やってんだい?」
喘息の発作も香港に来て以来、ほとんど起きてないようであった。環境が変ったので、いくらかおさまったのだろう。
「アドレナリンか?」
「いや。それもあるが――」
城介は言葉を濁して、ことさらシャワーの音を高めた。
「どうもこの頃体がだるくて仕様がねえ。だからビタミンを打っているんだ」
「毎日うまいものを食って、ビタミン不足もないだろう」
加納は笑った。城介は顔色もよかったし、どう見てもビタミン不足には見えない。若い肌は水気を弾いて、つやつやと光った。城介はタオルで拭きながら、話題を変えた。
「東京が空襲されたことを知ってるかい?」
ドゥリットル空襲のことである。
「その飛行場を押えるために、近い中、作戦が開始されるらしいよ」
「するとまた野戦病院の移動か」
「まあそういうことになるな。憂欝だね」
そんな会話をしたから、四月頃のことだろう。ところが予想に反して、彼等は大同に戻ることになった。