Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
十五
栄介は柱から自分の体を引剥がし、ふてくされたような歩き方で、幸太郎に近づいた。
「おお。おお」
幸太郎はうめくような声を出した。
「栄介か。栄介君か。変ったのう」
「じゃおれたちは――」
二人の老人はほっとしたように、異口同音に言った。
「これで失礼する。元気でな」
一人はよぼよぼと、一人は婦人にたすけられるようにして、そこから離れて行った。あとには幸太郎と栄介だけが残された。
十五
私と栄介は公園内の道をぶらぶらと、広小路の方向に歩いていた。
「それで泊めることを断ったのか」
老人の姿を想像しながら、私は言った。
「冷酷なもんだね」
「冷酷って、おれがか?」
「いや。時間の流れというものがさ」
私はごまかそうとした。しかし栄介はごまかされなかった。
「そりゃおれは冷酷かも知れない。しかし異物が家庭内に入り込んで来るのは、イヤなんだ!」
栄介は声を強めた。
「学資はたしかに出してもらったさ。中途半端だったけれどね。そこでおれも金を出すことにした。月に五千円」
「それじゃ生活出来ないだろう」
「だからもう先、言っただろう。幸伯父はかなり金を持って、田舎から出て来たんだ」
「どうしてそれが判る?」