Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
「つまらねえことをしやがる」
そう思いながら、栄介はふところ手のまま、人の動きを眺めていた。その木柱の字は、幸太郎の筆跡であることを、彼は知っていた。戦病死の公報があってから、幸太郎がこしらえて持って来たのだ。しかしその時母親は断った。
「通知がありましても、実際に骨を見ない中は、そんなものを立てるわけには行きません」
遺骨が戻って来たので、母親も納得する気になったのだろう。彼女はひっつめ髪のまま縁側に腰をおろし、放心したように夕空を見上げていた。
その木柱にくらべて、門の『英霊の家』の看板は、木組みも細かったし、粗末過ぎた。もっともこれは幸太郎の責任でなく、町会の仕事を幸太郎が代行したのだから、仕方がない。それが門に掲げられているのは、いかにもそらぞらしかった。
「英霊の家だなんて、死んだ者に家なんかあるものか。役にも立たないものを掲げやがって!」
しかし実際には、この看板は大いに役に立った。栄介が召集されたあと、戦局が苛烈になり、隣組の共同作業や防火訓練や当番などの時、あそこは女子供だけで人手が足りないということで、面倒な協力を免除される場合が、しばしばあったからだ。