Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
一時期学資を出してもらったことが、やはり心の奥底で引け目になっていた。
「返事を出さないということが、つまり相手にしないという意志表示じゃないか。どうしてそれがあの幸太郎に判らないのだろう」
栄介にとって、父親の福次郎もはるか遠いものになっていた。二十何年前に現実に死んでいるだけでなく、彼の記憶の中でもほとんど死滅していた。その死滅したものの兄が、まだ生きていて呼吸をしたり、体臭を放っていたりすることを考えると、それがこちらへ寄りかかって来ることを想像すると、悪夢を見た寝覚めの苦しさといやらしさを彼は感じた。それは自分が生きていたいやらしさ、その間に自分が果たした愚行などに、その感じは重なって来る。夕食の時、栄介はそのハガキを妻の美加子に見せた。
「齢をとったんで、昔の人に会いたくなったんじゃないかしら」
ハガキを返しながら美加子は言った。おれは会いたくないし、四郎も安子も会いたがっていない。ところが川津は返事を出せと主張したし、今の美加子の言い方もわりに好意的である。一月三日の夜、あの税務吏員は酔っぱらって栄介にこうからんだのだ。
「義兄さんは心のつめたい人なんだ。