Classici giapponesi con furigana
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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate
自分で扉をあけて、老人の手助けするというやり方ではなく、押し込むようにして、乗車させた。幸太郎は無表情にそれに従った。後部座席に栄介と私は並んで腰をおろした。車は動き出した。幸太郎の後頭部と肩が、私の眼の前にあった。肩をおおう洋服の布地は、アイロンをかけ過ぎたのか、けばが磨滅しててらてらと光っている。それはまさしく一帳羅という感じがした。
『こんなに齢をとって、若くして死んだ肉親の墓を訪れるのは、どんな気分のものだろうな』
私はそう考えたが、もちろん口には出さない。私は栄介に別のことをささやいた。
「背骨の具合、その後どうだね?」
「うん。毎週唾液腺ホルモンの注射を受けてるがね」
栄介は浮かぬ表情で答えた。
「根をつめたりすると、やはり痛む。痛むというより、重苦しくなって来るよ。でも一生この重苦しさを背負って行かなきゃならないらしい」
「医者がそう言うのか」
栄介はうなずいた。
「れいの肉腫のようなものは――」
栄介は不機嫌な表情で、ぐふんとせきばらいをした。あきらかに牽制である。
「あれはもういいんだ。心配して呉れなくてもいい」
栄介は早口で言った。そこで私は話題を変えた。