Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

Leggi 狂い凧 (くるいだこ) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 111.430 caratteri · 226 schermate

Aozora Bunko

「便器に見えるのか?」

「いや。僕にはギプスに見えるけれど、犬や猫はそう見ないだろう」

栄介はしばらく考えていた。

「うん。それもそうだ。折角つくったものを、犬猫に使われちゃ困るな」

栄介は戸袋から背を離した。

「すまないが、縁側に引上げて呉れ。おれは腰が痛い」

彼はベッドに戻った。私は言われた通りにしてやった。生乾きの石膏はぶよぶよして、不気味な感触で、押せば指型がつきそうな感じがする。固まるのに、まだ二日や三日はかかるだろう。いくらか露悪的な気持で、私はそれを縁側に引きずり上げて部屋に運んだ。

「その時の背中の丸め方が、印象に強く残っているんだ」

椅子に腰をおろしながら、私は言った。

「彼はいつもあんな走り方をしたのかね?」

「君が走りやめたとすると――」

栄介は私の質問には答えなかった。

「城介はどうしたんだね?」

「そのまま遊園地の外まで、つっ走ったらしい。その次会った時、そう言っていた」

話している中に、その日の季節感がまざまざとよみがえって来る。

「そうだ。あれは割に暑い日だった。僕は独りになって、もう遊園地にいる気もしなくなって、外に出て生ビールを飲んだ。