Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
それが燈火の淡い光を、五彩の虹のように刎ね返して、二人の眼を幻惑させるのであった。
「まあ」
と梶子はつくづくと云った。
「あの宝玉の美しさ、女の髪の飾りにでもしたら、なんと見事でございましょう」
云い云い人形の方へ躰を寄せ、本能的に指を持って行った。
「梶子殿」
と民弥は驚き、全身に冷や汗をかきながら、
「雛は雛同士そっとして置き、さあ我々は我々同士、酒だ酒だ、酒のみましょう」
云い云い銚子をとりあげた。
(それへさわられてたまるものか! それへさわられて人形の胸に、ポッカリ例の穴があき、そこに大切な宥免状がある。――ということでも知られようものなら、これまでの苦心水の泡となる)
「さあ、梶子殿酒じゃ酒じゃ」
「はいはい」
と梶子は笑いながらも、人形の側からやっと離れた。
「わたし何んだかすっかり酔って、胸は苦しく頬はほてり……ホッホッホッ、胸の苦しさは、酒ばかりではございませんが……」
杯を受け、口にあて、いやらしいほどにも媚のある眼で、民弥の顔をながし眼に見、
「人じらしの民弥様、推量が悪いのやら、よすぎるのやら、もうもうわたしはじれったいようで……でもどうにもこのことばかりは、一人でじれておりましてもねえ」