Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
蚤とり武士
蚤とり武士
「蚤とりましょう。猫の蚤とり!」
黒の紋付きの着流しに、長目の両刀を落として差し、編笠をかむった浪人らしい武士が、明暦三年七月の夕を、浅草の裏町を歩きながら、家々の間でそう呼んだ。
お払い納め、すたすた坊主、太平記よみ獣の躾け師――しがない商売もかずかずあるが、猫にたかっている蚤を取って、鳥目をいただいて生活という、この「猫の蚤とり」業など、中でもしがないものであろう。
町人百姓でもあろうことか、両刀さした武士の身分で、この賤業にたずさわるとは、よくよくの事情があるからであろう。
「蚤とりましょう、猫の蚤とり!」
蚤とり武士は歩いて行く。
と、一軒の格子づくりの、しもた家らしい家の奥から、
「もし蚤とりさん、取っていただきましょう」
と、老けた女の呼ぶ声が聞こえた。
「へい、お有難う存じます」
と、何んとこの武士の気さくなことか、板についた大道の香具師の調子で、そう云いながら格子戸をあけた。
乳母らしい老女が烏猫を抱いて、三畳の取次ぎに坐ってる。その背後にこの家の娘でもあろう、十八、九の小肥りの可愛らしい娘が、好奇の眼を張って立っていた。
「ま、これはお武家様で」