Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
「これは!」
「まあ!」
「これはこれは」
二人は驚いて眼を見合わせたが、
「カラクリでござるな、精妙なカラクリ」
「そうとも精妙なカラクリだよ」
「何かはいっていませぬかな」
三十郎は顔を持って行き、その穴を覗いて見た。
「書状らしい物が入れてあります」
「何んだろう? 取り出してごらんよ」
三十郎は書状を取り出した。
表に簾子姫への宛名があり、裏に伊豆守の名が書いてあった。
また二人は顔を見合わせ、
「恋文なのさ、ホッホッホッ」
「でありましょうな、偉い方々の」
「ああいう上の方の恋の消息、どんなものだろう、見たいねえ」
「と申してもまさか封を切って……」
「そうねえ」
と梶子は考えたが、
(伊豆守様の妾は隠密、隠密というものは不安なもので、ご用がなくなるとお暇になったり、まごまごすると殺されさえする。そんな時主人の弱点か秘密を、一つしっかり握っておけば、それが助けの神となる。……伊豆守様の恋文を見て、その秘密を知ってやろう)
こう決心すると大胆不敵にも、
「その書状ちょいと貸してごらん」
と、三十郎より書状を取ると、髪から簪をスルリと抜き、そこは隠密の巧妙な手捌き、書状の封目へ簪を入れ、見事に封目を解いてあけた。