Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
「味方とお思いなさいますか?」
「味方と思わないで何んとしましょう」
ここで二人は顔を見合わせ、まことに親しそうに微笑し合った。
梶子が松平伊豆守の、女隠密だということは、民弥へ萩丸を渡した際に、彼女の方から明かしたのであった。
「さて民弥様」
と梶子は云って、馬の手綱を少しゆるめ、馬の歩みを少しく遅くし、囁くように話しかけた。
「二人で黄金島へ渡りまして、魚屋の財宝を手に入れましたら、妾はあぶない隠密稼業など、早速やめるつもりでございます。……ですからあなた様におきましても、徳川幕府に弓ひくなどという、とうてい成功おぼつかないことから、綺麗にお手を引かれまして、妾と一緒に……ねえ妾と……」
ここでさすがに云いやめてしまった。
「夫婦になって浮世を平和に、くらして行こうではございませんか」
と、こう本当は云いたかったのであるが、そこまでは露骨に云えなかったのであった。
民弥は返辞をしなかった。
彼といえども明暦義党の、同志の企てていることが、成功しようとは思われなかった。
といって今さら同志と別れて、梶子と一緒に平和に安穏に、この世を送るということは、うしろめたくて出来なかった。