Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
そんな所に二挺の駕籠が、ぼんやり客待ちをしていたということ、そのことがもう胡散であって、萩丸が普通の市井人だったら、早速疑がいを起こしただろう。ところが萩丸はそうではなく、紀州家の御曹司で世間知らず、ことには菊女の媚態に魅せられ、心を乱している時だったので、躊躇せず駕籠に乗って追わせたのであった。
が、そういう萩丸ではあったが、さすがにこういう屋敷へ来て、こういう土間へ立って見れば、考え込まざるを得なかった。
(変に気味の悪い屋敷だなあ!)
まず萩丸はそう思った。
土間を中心にしてその右には、無数の部屋があるらしく、古障子や古襖や、古板戸がタラタラと並んでいた。そうして左には馬小屋らしいもの、鶏小屋らしいもの、物置らしいものが、太い格子や細い格子を、こっちへ向けて立っており、二階へ行ける箱梯子が斜めに高くかかっていた。
でも森閑として人気がなかった。
(無断に奥へはいって行って、咎められるようなことはないだろうか?)
つづいてこれが心配になった。
しかし萩丸は娘に対し、今も心は夢中であった。
その娘は鼻の先の、裏庭のどこかにいるような気がする。
(咎められたら詫びるまでのことよ)