Classici giapponesi con furigana
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ねこののみとりぶし
猫の蚤とり武士
国枝 史郎
Leggi 猫の蚤とり武士 (ねこののみとりぶし) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 185.496 caratteri · 368 schermate
「いまだ手がかりござりませぬ」
――が、ややあってそう云った。
聞く人の心をヒヤリとさせるような、冷たい厳しい声であった。
「そう」
と梶子は軽く受けた。
こっちも「驚く」ということや「恐れる」ということを知らないかのような、ふてぶてしい心の持ち主だったので、そう軽く受けたのだった。
「それじゃア昨夜もそっちの方で。……わたしゃアお楽しみ筋かとねえ……今朝から二度ほど呼びに行ったんだが……まあまあそれはご苦労さまでした。……手がかりがない? まるっきりない?」
「今のところ、まずさよう」
「ふうん」
と梶子は裏庭の方へ、縁越しに眼をやって不満そうにいった。
過ぐる日梶子は浅草境内で、紀伊家の御曹司萩丸君が、若い美しい娘によって、誘惑されたのを親しく見た。
で、それ以来三十郎をして、萩丸のその後の消息と、誘惑をした娘の素姓とを、かり立てるようにして探らせた。
その結果今日までに知れたことといえば、萩丸はあれ以来行方不明、そこで紀伊家では大騒ぎをし、紀伊家としても極力探しているが、南北町奉行にも事情を告げ、同じく探して貰っていること、しかし行衛は今に知れず、そうして萩丸を誘惑した娘の、素姓も住居も解らない。