Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
実際彼は三十年近くも同棲して来た彼の妻に、ただの一つ優しい言葉を掛けた例のない男であった。
健三の這入って来るのを見た彼は、すぐ読み懸けの本を伏せて、鉄縁の眼鏡を外した。
「今ちょっと貴方が茶の間へ行っていらしった間に、下らないものを読み出したんです」
比田と読書――これはまた極めて似つかわしくない取合わせであった。
「何ですか、それは」
「なに健ちゃんなんぞの読むもんじゃありません、古いもんで」
比田は笑いながら、机の上に伏せた本を取って健三に渡した。それが意外にも『常山紀談』だったので健三は少し驚ろいた。それにしても自分の細君が今にも絶息しそうな勢で咳き込んでいるのを、まるで余所事のように聴いて、こんなものを平気で読んでいられるところが、如何にも能くこの男の性質をあらわしていた。
「私ゃ旧弊だからこういう古い講談物が好きでしてね」
彼は『常山紀談』を普通の講談物と思っているらしかった。しかしそれを書いた湯浅常山を講釈師と間違えるほどでもなかった。
「やッぱり学者なんでしょうね、その男は。曲亭馬琴とどっちでしょう。私ゃ馬琴の『八犬伝』も持っているんだが」