Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
母は死にました。私と妻はたった二人ぎりになりました。妻は私に向って、これから世の中で頼りにするものは一人しかなくなったといいました。自分自身さえ頼りにする事のできない私は、妻の顔を見て思わず涙ぐみました。そうして妻を不幸な女だと思いました。また不幸な女だと口へ出してもいいました。妻はなぜだと聞きます。妻には私の意味が解らないのです。私もそれを説明してやる事ができないのです。妻は泣きました。私が不断からひねくれた考えで彼女を観察しているために、そんな事もいうようになるのだと恨みました。
母の亡くなった後、私はできるだけ妻を親切に取り扱ってやりました。ただ、当人を愛していたからばかりではありません。私の親切には箇人を離れてもっと広い背景があったようです。ちょうど妻の母の看護をしたと同じ意味で、私の心は動いたらしいのです。妻は満足らしく見えました。けれどもその満足のうちには、私を理解し得ないために起るぼんやりした稀薄な点がどこかに含まれているようでした。しかし妻が私を理解し得たにしたところで、この物足りなさは増すとも減る気遣いはなかったのです。女には大きな人道の立場から来る愛情よりも、多少義理をはずれても自分だけに集注される親切を嬉しがる性質が、男よりも強いように思われますから。