Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
十九
私はまるで泥棒の事を忘れてしまった。
「あなたは私に責任があるんだと思ってやしませんか」と突然奥さんが聞いた。
「いいえ」と私が答えた。
「どうぞ隠さずにいって下さい。そう思われるのは身を切られるより辛いんだから」と奥さんがまたいった。「これでも私は先生のためにできるだけの事はしているつもりなんです」
「そりゃ先生もそう認めていられるんだから、大丈夫です。ご安心なさい、私が保証します」
奥さんは火鉢の灰を掻き馴らした。それから水注の水を鉄瓶に注した。鉄瓶は忽ち鳴りを沈めた。
「私はとうとう辛防し切れなくなって、先生に聞きました。私に悪い所があるなら遠慮なくいって下さい、改められる欠点なら改めるからって、すると先生は、お前に欠点なんかありゃしない、欠点はおれの方にあるだけだというんです。そういわれると、私悲しくなって仕様がないんです、涙が出てなおの事自分の悪い所が聞きたくなるんです」
奥さんは眼の中に涙をいっぱい溜めた。
十九
始め私は理解のある女性として奥さんに対していた。私がその気で話しているうちに、奥さんの様子が次第に変って来た。奥さんは私の頭脳に訴える代りに、私の心臓を動かし始めた。