Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

「あら、どうして? そんなこと、誰か言いました?」

「誰から聞かなくつても、君の顔に書いてある。だんだん、新進女流作家みたいな恰好になつて来たよ」

「いやだわ、デタラメ言つて……」

「しかし、二人でいやにしんみり話してるじやないか。文学の話は、そういう風に、ひそひそと話すもんかい?」

「兄さまつたら、変よ。しのぶちやんをそんなにいじめるもんじやなくつてよ」

「いじめてやしないさ。だつて、ほんとじやないか、二人は、さつきから、一度も笑わなかつたぜ、ちやんとわかるよ」

「だから、真面目なお話してるんだから、そんなに邪魔しないでちようだい。なんか、しのぶちやんにご用なの?」

と、多津は、いくらか痛いところを突かれたという風に、百瀬しのぶの顔をちちと見た。

「こつちも真面目な話だ。ねえ、百瀬君に聞くが、長久保の奥さんから、いつたい、なんて言つて来たの? もうじき退院するつていうだけ? やつぱり松本へ帰るんだろうな」

「もちろん、そうだと思うわ。だつて、ほかにいらつしやるところ、ないわけですもの」

「汽車へなんぞ乗つて、大丈夫なのか知ら?」

「大丈夫でなけれや、お医者さまがおゆるしにならないわ」