Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
二
二
父の秘密が明るみにでた動機は、そのもとをたゞせば、女へのきまつた仕送りが途絶えたことからであつたが、それというのも、例の会社から手を引いて以来、怪しげな金融ブローカーの口車に乗り、多少の貯えも次ぎから次ぎへと吐き出してしまつた上、ついに、家屋敷を抵当に入れなければならぬ羽目に陥つていたのである。
父は、つい最近、それとなく目下の経済的不如意を食卓の話題にしたことはあるが、そうまで差しせまつた事情があるとは、肝腎の母でさえ気がつかずにいた。それほど、父は、痩せ我慢を張つて、生活費の捻出に大童だつたのである。
が、ついに、危機が到来した。しかも、突如として、破産の一歩手前という、一家のものにとつて、寝耳に水の事態が襲いかゝつたのである。
この月いつぱいに、今住んでいる家も明け渡さねばならぬという、のつぴきならぬ期限を眼の前にひかえて、父は、もう、まつたく、動く気力を失つていた。
「わしは、たゞ、生きているのが辛いだけだ。どうでも、いゝようにしてくれ」
京野等志は、そう言う父の顔を、まともに見るに忍びなかつた。
母は、泣くにも泣けず、たゞ、茫然と、あちこちに貼られた差押えの紙ぎれを眺めて、立ちすくんでいる。