Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
三
そして、彼から、あらましの話をきくと、ちよつと小首をかしげ、例の人なつつこい眼を輝やかして、
「老人の就職つていうやつが一番厄介なんだ。しかし、持つて行きようでは、話に乗らんとは限らんからなあ。君みたいに贅沢さえ言わなきや、食つて行くぐらいのことは、なんかあるよ」
と、南条己未男は、わりに親身に、父のことを考えてくれそうな口ぶりであつた。
「それはそうと、真喜のやつ、とうとう、学校をやめて、自分で働くつて言いだしたんだ。銀座の化粧品店へ勤める話を、ひとりで決めて来やがつたよ」
京野等志は、ことさら妹のことに触れないのも不自然だと思い、ざつくばらんに、消息を伝えた。
「そうか。おれはたしかに振られたものと思つていたが、やつぱり、結婚は後まわしか。そんなら、まだ、諦めるのは早いな。しかし、なんだな、毎日、その店の前をぶらつくわけにもいかんじやろう」
と、彼は、快活に笑つた。
三
老人夫婦と赤ん坊のために、やつと手頃な部屋がみつかつたのは、父の就職口がきまるのと同時であつた。というのは、池袋に新しく建つたアパートの管理人はどうか、という話を、南条己未男が持つて来てくれたのである。