Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
三
「たいへん、先生にはぶしつけなことを申しあげたようです。どうぞ、おゆるしください。しかし、これは無駄にはならないと思います。ありがとうございました」
彼は、そういつて、部屋を出た。長久保宇治も、ひと足おくれて、出て来たが、二人は、どちらからもすぐに口を利こうとはしなかつた。
三
これだけのことをした後で、京野等志はまだなにかすべきことが残つているような気がした。しかし、それがどういうことであるか、はつきりつかむことはできなかつた。
ともかく、もう、そこにいる用はないということだけはわかつた。
彼は、はるかに続く山の峯に焦らだたしい思いをのこしながら、夕闇につゝまれた、石の多い坂道をとぼとぼと降りて来た。
宿に着いた時は、汗が上着の背をとおし、足のゆびが赤くはれあがつているのに気がついたが、彼は、風呂を浴びる元気もなく、夕食にビール一本をつけさせて、そのまゝ横になつた。
翌朝は、早く眼がさめた。雨戸を自分でくると、朝霧をふくんだ爽やかな風が肌をかすめた。
この時、彼の頭のなかでは、今日、これからとろうとする行動のプランが、ちやんとたつていた。
八時が鳴ると、彼は療養所へ電話をかけ、長久保小萩の退院はいく時頃になるかを問い合わせた。