Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
ところで、偶然にも、その味岡の家というのが、彼が家庭教師をしている某家へ通う、そう遠廻りにならぬ道順で、それから後は、駅からの往復を自然、そつちの道を通つてということにした。別に、わざわざ立寄るほどの理由も口実もないまゝに、いく月かは、たゞ、門の前をいくぶんゆつくり歩き、二階の窓をそれとなく見あげ、時たま大きく咳払いをしてみるぐらいですぎたのだが、遂に、彼にとつて忘れ難い日が来た。新宿からの電車の中で、彼女にばつたり会つたのである。その日彼は家へまつすぐ帰る筈なのを、高円寺に用事があるといつて一緒に電車を降り、のこのこと彼女の歩く方角へ歩きだした。
「僕、実は、家庭教師をしてるんです。その家は三丁目なんですが、ちようどお宅の前を通つても行けるんです。ですから、ご迷惑でなかつたら、お宅までお送りします」
「まあ、そうでしたの。今日もそちらへ?」
彼は、ぐいと唾を呑み、
「今日はどうでもいゝんですが、ちよつとのぞいてみます。ほんとは、月水なんです」
「月水……あたくしのお稽古とおんなじ日ですわ」
「なんのお稽古ですか」
「お茶ですの」
「学校はもうすんだんですか」