Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
当りもやわらかになる。人を傷つけて、快とする風が、絶無とは言わんが、いくらか少くなる。その代り、相手と共に言葉を楽しむ、言葉だけを楽しむ一種の境地が生まれる。言葉はもはや、行動としてのはたらきを失つて、単なる表情だけに止まることになるのだ。わかつたか、真喜坊」
父の身勝手な饒舌論は、一同を吹きださせた。
「そんなら、お父さんのお話は、たいてい、言葉を楽しんでいらつしやるわけね。こつちが楽しくなかつたら、どうすればいゝの?」
ズバリと、真喜が釘を刺したので、母と多津とは、思わず顔を見合した。
「聞いてなけれやいゝさ」
「但し、聞いてる風だけはしてね」
と、多津も、悪戯ッ子のように、すこし調子に乗る。
「ハヽヽヽヽ」
父は、うつろな笑い方をした。実に、なんとも言えぬ寒々とした笑いである。
その夜、深志は、十二時になつても帰つて来なかつた。
京野等志は、弟の机の上に、学校のノートが一冊投げ出してあるのを、ふと拾いあげてパラパラと頁を繰つてみた。哲学概論のノートであるが、ところどころに講義の筆記らしい走り書きがしてあるだけで、大部分が空白のまゝである。読みにくい字を拾い拾い、どんなことが書いてあるか、たゞ好奇心だけで眼を通しているうちに、ある個所に来ると、それは明かに講義とは関係のない、一連の文章にぶつかつた。