Classici giapponesi con furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Leggi 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.479 caratteri · 394 schermate
額をおさえ、めくら滅法、かけ出した方角に谷があった。ガラガラガラガラと落ちる音! かれ勝手に飛び込んだのである。人間一人谷の底で、こなごなにこわれたに相違ない。
手足をバタバタおよがせたが、首をしめられたその武士も、すぐに伸びて動かなくなった。
ピョイと木蔭から飛び出したのは道中師風の小男である。
「どうでえ、あねご、こんなものでげす。中条流の捕り縄だって、時にはこんな働きもしまさあ」ほかならぬ早引忠三である。
「見事見事。ほめてやってもいいよ」虚無僧姿のイスラエルのお町、天蓋の中で愉快そうに笑った。
「それはそうとこのお武士さん、もう命は助からないのかしら? どっちが悪いのだか知らないが、二人に一人。可哀そうに、とどめを刺されようとしていたんだもの。だまって見ちゃアいられないじゃアないか。どういう身分のお方かしら?」および腰をしてのぞき込んだが、にわかにお町グタグタと、両膝をついて天蓋をはねた。「袴様だヨーッ、広太郎様だヨーッ」ヒシとだきあげたものである。
がっかりしたのは忠三で、「ワッ」というと飛びあがった。
「袴が広いか! 惜しいことをした。おれにとっちゃア恋がたき、助けなけりゃアよかった。