Classici giapponesi con furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Leggi 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.479 caratteri · 394 schermate
「憎まれる方がまだいいや。ほれている女に憐れまれた日にゃ、野郎たるもの浮かばれませんねえ。それはそうとネエあねご、どっちの方角へ行きやしょう」
「そうさねえ」と考えたが、「なんだか前途を見届けたくなったよ」
「え、前途? なんの前途で?」
「魂のぬけがらの前途だよ」
「ふふん、こいつアよっぽど変だ」ひどく忠三いやな顔をしたが、「憐れが凝って同情となり、同情があつまって恋となる。……というようなことだって、時タマ浮世にはあるものだ。……いけませんな、え、あねご。第一袴様にすみますめえ。忠三にだってすまねえや」
「何をいうんだい、ばか忠々」お町吹き出したものである。
「魂があってさえいやだったのに、魂のなくなった爺い玉なんかに、何がいったいどうしたってんだヨーッ」
「いいなあそいつだ。その『ヨーッ』だ! そうならなけりゃア面白くない。感傷的だったり、予感的だったり、さっきのようじゃア困りますからねえ。旅が旅らしくなくなってしまう。が待ってくれ。その旅も、もうすぐおえるんでございますねえ。袴様とあねごとがヒョイと逢う。うれしいヨーというところで――もっともどうもこのヨーは、あっしにとっちゃア苦痛だが、とにかくヨーというところで、手を取り合った暁に邪魔になるのはこの忠的! そこで邪慳におっしゃいましょうねえ。