Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

Leggi 夜明けの辻 (よあけのつじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.801 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

三の一

――なんだ。

伊兵衛は立止って耳を傾けた。

しかし、もうなんの物音もしなかった。吹きまくる雪に包まれて、国老の屋敷は森閑と鎮りかえっていた……胸に喰込むような、凄惨な叫びであった。急に板の引裂けるような物音だったが……。

「そら耳だったのか」

伊兵衛は呟きながら歩きだした。

三の一

津田頼母に面会を断られた功刀伊兵衛は、その足で斎藤孫次郎を訪ねた。ところが孫次郎はいなかった。

「急の御用で、たったいま、江戸へお立ちなさいました」

「一人でか」

「来栖さまと御一緒だと伺いましたが」

留守の者にはそれだけしか分らなかった。伊兵衛はそこから紙屋十郎兵衛の家へ廻った。彼はまだ部屋住の気楽な身分で、かなり年の違う弟が一人ある。伊兵衛が庭のほうから覗くと、彼は弟と一緒に雪まみれになって、おそろしく大きな雪達磨を拵えているところだった。

「やあ、どうした。なにか用か」

「ちょっと話がある。出てくれないか」

「よし、すぐ表から廻って行こう」

十郎兵衛は支度を直して表から出て来た。伊兵衛は一緒に自分の家のほうへ向いながら、声をひそめて云いだした。

「十郎兵衛、鬼鉾山で斬られていた四人には伴れがあった」