Classici giapponesi con furigana
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よあけのつじ
夜明けの辻
山本 周五郎
Leggi 夜明けの辻 (よあけのつじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.801 caratteri · 86 schermate
三の四
伊兵衛は大弐に呼び掛けようとした。まず彼の心底を知りたかったから……しかし、盲人の全身から発する殺気は、眼に見えぬ一万の箭を射かけるように、伊兵衛の神経を妖しく縛りつけてしまった。
蛇に見込まれた蛙、恐らくそのときの伊兵衛はそんな感じだったに違いない、神髄が痺れたようになって、手を動かすこともできず、息をつくことさえ苦しくなった。
――いかん!
と気付いたとき、相手はすでにずっと間合を縮めていた。そして、夜目にも白い右手が、するすると音もなく小剣を抜いた。
三の四
桃井久馬は二十六歳になる。
元は国詰めの書物番で、功刀の隣屋敷に住んでいたが、三年まえ、父母と弟と一緒に江戸詰めになって去った……気質が狷介なので、隣同士でも親しい付合いはなかったが、それでも功刀兄妹とは幼友達であった。
「まだ痛みまして」
「いくらか楽になったようです」
「もう少し冷したほうがようございましょう。そのほうが肉もよく上ると申しますから」
「いや、もうけっこうです」
立て廻した屏風に、行燈の光があかあかと映えていた……夜具の衿を口許まで引寄せた久馬は、痛みを外らすように、ふと屏風のほうへ眼をやった。