Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Leggi 支那游記 (「しなゆうき」) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.859 caratteri · 105 schermate

Aozora Bunko

胡弓弾きの男はどう云う訣か、大抵胡弓を弾きながらも、殺風景を極めた鳥打帽や中折帽をかぶっている。胡弓は竹のずんど切りの胴に、蛇皮を張ったのが多かった。秦楼が一曲うたいやむと、今度は時鴻の番である。これは胡弓を使わずに自ら琵琶を弾じながら、何だか寂しい唄をうたった。江西と云えば彼女の産地は、潯陽江上の平野である。中学生じみた感慨に耽ければ、楓葉荻花瑟瑟の秋に、江州の司馬白楽天が、青袗を沾した琵琶の曲は、斯の如きものがあったかも知れない。時鴻がすむと萍郷がうたう。萍郷がすむと、――村田君が突然立ち上りながら「八月十五、月光明」と、西皮調の武家坡の唄をうたい始めたのには一驚した。尤もこの位器用でなければ、君程複雑な支那生活の表裏に通暁する事は出来ないかも知れない。

林黛玉の梅逢春がやっと一座に加わったのは、もう食卓の鱶の鰭の湯が、荒らされてしまった後だった。彼女は私の想像よりも、余程娼婦の型に近い、まるまると肥った女である。顔も今では格段に、美しい器量とは思われない。頬紅や黛を粧っていても、往年の麗色を思わせるのは、細い眼の中に漂った、さすがにあでやかな光だけである。