Classici giapponesi con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Leggi 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 337.181 caratteri · 676 schermate
問う者もさる者、答える者もさる者、薄く笑って行き過ぎたが、郡兵衛はいかにも苦しそうだった。自分という者が、こんなに見窶らしく見えた事はなかった。
けれど、顔から火の出そうな恥かしさも、ほんのその時だけの事だと思った。半町も離れて振向くと、彼はやはり自分の賢く反れて来た道を後悔していなかった。
『何てえ馬鹿正直な人間共だろう。とうとう思い通りに実行してしまったのだから呆れる。……人のうわさも七十五日、その一時的な感動に煽られて、まだ何十年生きられるか知れない先の寿命を捨ててしまうなんて。……莫迦なっ、おれは、これから先の浮世をたんまりと楽しむのだ』
――しかし、高田郡兵衛が、それから先の人生を、理想どおり楽しんで、よく送ったという噂は聞いた者もない。また果して――彼が唾しながら、その時自己の反対のほうへ去った四十六名を嗤ったような自信を、その後も、いつも持てていたろうか。ふと自分の余生の虚無や精神的な貧しさを感じない日がなかったろうか。
どう歩くも、人生である。箇々の選んでゆく道は種々なものに違いない。しかし、意義と、生きがいを掴んでこそ、生きのよろこびは、その人間に無上に楽しいにちがいない。