Classici giapponesi con furigana
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しんぺんちゅうしんぐら
新編忠臣蔵
吉川 英治
Leggi 新編忠臣蔵 (しんぺんちゅうしんぐら) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 337.181 caratteri · 676 schermate
無限の感慨が、その面に漲っている。他家の陪臣づれから、こんな酷薄な言葉を投げつけられたのは、三十余歳の今日まで、初めて身に沁みた事なのであろう。
が――更に辞を低くして、
『恐れ入るが、一言、口上をもって、お伝え賜わるまいか』
『お上へ、伝達の上でなくては、何事も致しかねる』
『然らば……覚え書一通、お書きとり願って、目付衆まで、伺って戴きたい』
やむなく、挨拶人は筆を執って、
『仰せられい』
と、渋々、聞き書きを認めだした。
『――此段、予而』
内匠頭は、眼をとじながら云う。
『それから』
『――知らせ申す可候え共、今日』
『次』
『――已むを得ざる事の候故、知らせ不申候。不審に存ず可候』
と、文言を切って、
『それだけでござる、右を、家来片岡源五右衛門、磯貝十郎左衛門、と申す者へ、お伝え願わしゅう存ずる』
後に、彼の思いは届いて、この云い写しの遺言は、源五右衛門の手から、国許の大石内蔵助の胸にまで運ばれた。
『おゆるしあるや否や、分らぬが、預かり申しておく』
挨拶人の生田孫惣が、硯箱へ筆を落した時、玄関の方が騒めいて、
『御検使!』
『お出迎えを――』
と云う声が、氷をわたる風のように、ぴいんと冷たく聞えた。