Classici giapponesi con furigana
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にっき
日記
宮本 百合子
Leggi 日記 (にっき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 61.953 caratteri · 124 schermate
五月二十一日
五月二十一日(土曜)
ステーションから、真直に林町へ行こうか、片町にかえろうかひどく汽車の途中でも迷った。
林町へ先ずいけば、夜まで居なければならない。自分には其が辛棒出来そうもない。それかと云って、鍵を持ってないから、片町に誰も居なかったら入れない。が、とうとう思い切って片町に行った。戸がしまって居るのを見たら、眼が暗くなるような気がした。今日かえるかもしれないと云って置いたのだからと思って隣に、「若しか鍵をおたのみして行きませんでしたろうか」と云ったら、思いがけず、「ハロー、百合ちゃん?」とAが木戸の方から呼んだ。自分はそこそこにして表に廻る、高田さんの奥さんは滑稽に思ったろう、刹那の待ち切れない卒直さ。俥夫に払い、Aの顔を見たら、瞬間自分は、何だか其がAだと分り切って居ながら、妙に別人のような、妙な感に打れた。その感は別れて居た時間に比例するのではないか。
とにかく、私共は互に会うことを待ちのぞんで居たのだ。
――○――
武井大助氏が、坂本花世氏、自分達を如水館に呼ばれる。午後行けばよいので、朝林町へ行く。父上や御かあさまが歓んで迎えて下さってありがたく思った。