Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
風俗からして移り変って来たその人達の中を、彼は右に避(よ)け、左に避けして、旅から自分が帰って来たのか、それとも自分が旅に来たのか、何方(どちら)ともつかないような心地(こころもち)で歩いた。あだかも支那からやって来て、ポツンと東京の町を歩いている観光の客のように。
こうは言うものの、山本さん自身も、何処(どこ)かこう支那人臭いところを帯(も)って帰って来た。大陸風な、ゆったりとした、大股(おおまた)に運んで行くような歩き方からして……
しかし不思議だろうか、山本さんのように長く南清(なんしん)地方に居た人が自然と異なった風土に化せられて来たというは。彼は支那ばかりでなく、最初は朝鮮、満洲へ渡って、仁川(じんせん)へも行き、京城(けいじょう)へも行き、木浦(もっぽ)、威海衛(いかいえい)、それから鉄嶺(てつれい)までも行った。支那の中で、一番気に入ったところは南京(ナンキン)だった。一番長く居たところもあの旧(ふる)い都だった。
無器用なようで雅致のある支那風の陶器(せともの)とか、刺繍(ぬいとり)とか、そんな物まで未だ山本さんの眼についていた。