Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
然し、この歯医者ばかりは、私も風采が好と思いましたのです。
この人が来る時は、よく私に物を携って来てくれました。この人が帰って去った後で、爺さんは必と白銅を一つ握っておりました。
或日、旦那様は銀行の御用で御泊掛に上田まで御出ましでした。その晩は戸も早く閉めました。私も、さっさと台所を片付けたいと思い、鍋は伏せ、皿小鉢は仕舞い、物置の炭をかんかん割って出し、猫の足跡もそそくさと掃いて、上草履を脱ぎまして、奥様の御部屋へ参りました。まだ宵の口から、奥様は御横におなりなすって、寝ながら小説本を御覧なさるところでした。誰を憚るでもない気散じな御様子。あらわな御胸の白い乳房もすこし見えて、左の手はだらりと畳の上に垂れ、右の足は膝頭から折曲げ、投げだした左の足の長い親指の反ったまで、しどけない御姿は花やかな洋燈の夜の光に映りまして、昼よりは反て御美しく思われました。
「奥様、御足でも撫りましょうか」
と私は御傍へ倚添いました。
「ああ、もうお済かい」と奥様は起直って、懐を掻合せながら、「お前、按摩さんをしてくれるとお言いなの。今日はね、肩のところが痛くて痛くて――それじゃ、一つ揉んで見ておくれな」