Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
殿下の行啓と聞いて、四千人余の男女(おとこおんな)が野辺山が原に集りました。馬も三百頭ではききますまい。それは源が生れて始めての壮観(ながめ)です。御仮屋(おかりや)は新しい平張(ひらばり)で、正面に紫の幕、緑の机掛、うしろは白い幕を引廻し、特別席につづいて北向に厩(うまや)、南が馬場でした。川上道(かわかみみち)の尽きて原へ出るところに、松の樹蔭から白く煙の上るのは商人(あきんど)が巣を作ったので、そこでは山葡萄(ぶどう)、柿などの店を出しておりました。中には玉蜀黍(とうもろこし)を焼いて出すもあり、握飯の菜には昆布(こぶ)に鮒(ふな)の煮付を突出(つきだし)に載せて売りました。
源の功名を貪(むさぼ)る情熱は群集の多くなるにつれて、胸中に燃上りましたのです。源の馬というのは「アルゼリィ」の血を享(う)けた雑種の一つで、高く首を揚げながら眼前(めのまえ)に人馬の群の往ったり来たりするのを眺(なが)めると、さあ、多年の間潜んでいた戦好(いくさずき)な本性を顕(あらわ)して来ました。頻(しきり)と耳を振って、露深い秋草を踏散して、嘶(いなな)く声の男らしさ。