Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
母親は夢のように眺(なが)めて幾度か深い歎息(ためいき)を吐きました。
「源」と母親は襦袢(じゅばん)の袖口で※(まぶた)を拭いながら、「思っても見てくれよ。私もなあ、この通り年は寄るし、弱くはなるし、譬(たと)えて見るなら丁度干乾(ひから)びた烏瓜(からすうり)だ――その烏瓜が細い生命(いのち)の蔓(つる)をたよりにしてからに、お前という枝に懸っている。お前が折れたら、私はどうなるぞい。私の力にするのはお前、お前より外には無えのだぞよ」
老の涙はとめどもなく母親の顔を伝いました。時々立止って、仰(あおむ)きながら首を振る度に、猶々(なおなお)胸が込上げてくる。足許の蟋蟀は、ばったり歌をやめるのでした。
源は無言のまま。
「父さんの言いなさるには、あんな薮(やぶ)医者に見せたばかりじゃ安心ならねえ。平沢に骨つぎの名人が有るということだによって、明日はなんでも其処へお隅を遣(や)ることだ、と言ってなさる。なあ、お前も明日の朝は暗え中に起きて、お隅を馬に乗せて、村の人の寝ている中に出掛けて行きなされ」
こういう話をして、家へ帰って見ますと、お隅も寝入った様子。