Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
六
いずれ乃公の方からお前の御母さんの処へ沙汰をして、悪いようにはしないから」
「難有うぞんじます」
丁、丁、丁と梯子段を上って来る人の気配がしました。旦那様は急に写真を机の引出へ御隠しなすって、一口牛乳を召上りました。白い手で御口端を拭きながら、聞えよがしの高調子、
「さあ、今日は忙しいぞ」
六
丁度その日は冬至です。山家のならわしとして冬至には蕗味噌と南瓜を祝います。幸い秋から残して置いた縮緬皺のが有ましたから、それを流許で用意しておりますと、花火の上る音がポンポン聞える。私はいそいそとして、物を仕掛けてはついと立って勝手口の木戸を出て眺めました。見れば萌初めた柳の色のような煙は青空に残りまして、囃立てる小供の声も遠く聞えるのでした。
軒並に懸る赤十字の提灯、金銀の短冊、紅白の作花には時ならぬ春が参りましたよう。北佐久総会とやらの式場は、つい東隣の小学校の広い運動場で、その日は小諸開闢以来の賑いと申しました位。前の日から紋付羽織に草鞋掛という連中が入込んでおりましたのです。長野から来た楽隊の一群は、赤の服に赤の帽子を冠って、大太鼓、小太鼓、喇叭、笛なぞを合せて、調子を揃えながら町々を練って歩きました。