Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
やがて小諸行の馬車が出た。沈んだ日光は、寒い車の上から、私の眼に映った。林の間は黄に耀(かがや)いた。私は眺め、かつ震えた。小諸の寓居(ぐうきょ)へ帰ってからも、私はそう委(くわ)しいことを家のものに話して聞かせなかった。
南向の障子に光線(あかり)をうけた部屋は、家内や子供の居るところである。末の子供はお繁(しげ)と言って、これは私の母の名をつけたのだが、その誕生を済ましたばかりの娘が、炬燵(こたつ)へ寄せて、寝かしてあった。暦や錦絵(にしきえ)を貼(はり)付けた古壁の側には、六歳(むっつ)に成るお房と、四歳(よっつ)に成るお菊とが、お手玉の音をさせながら遊んでいた。そこいらには、首のちぎれた人形も投出してあった。私は炬燵にあたりながら、姉妹(きょうだい)の子供を眺めて、どうして自分の仕事を完成しよう、どうしてその間この子供等を養おう、と思った。
お房は――私の亡くなった母に肖(に)て――頬の紅い、快活な性質の娘であった。妙に私はこの総領の方が贔屓(ひいき)で、家内はまた二番目のお菊贔屓であった。丁度牧野君から子供へと言って貰(もら)って来た葡萄(ぶどう)ジャムの土産(みやげ)があった。