Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate

Aozora Bunko

塗駕に小侍や中間など、二十人ばかりの一行が、彼の側を通った。何藩かの留守居役か重役らしく、人足に荷梱を舁かせて、横浜港と東海道との辻を西へ曲がって行ったが、しばらくすると、その列から、抜け戻って来た一人の侍が、再び辻の角に姿を見せて、何か考えていた。

大股に、露八の方へ、寄って来る――

露八は、気がつかなかった。八十三郎を求めるのに忙しない眼つきだった。何気なく、その侍と摺れちがった。――すると、

「おっ、やはりそうだ」

侍は、むずと露八の腕をつかんだ。

菅笠のつばを少し上げて、

「土肥君っ」

と、呼んだ。

「や。渋沢氏か」

「誰を探しておらるるのじゃ」

「弟を」

「えッ、八十三郎殿を」

怪しむように云う渋沢の顔をじっと見て、露八が訊いた。

「あなたは、どちらへ」

「しばらく友人の家に潜伏していたが、今度御用人の平岡円四郎殿がご上洛を幸いにお供のうちに従いて、やっと、危ない江戸表から足を抜いて来たところ……。過ぐるころは貴公のお蔭で、大難を遁れたが、その後、承れば、ご舎弟の入牢やら、お父上の不慮のご最期やら、何と申し上げようもないご災難つづき。其許も、世を儚んでご法体になられたと見える」