Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まつのやろはち

松のや露八

吉川 英治

Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate

Aozora Bunko

(我慢だ)

十何年間、道場へ、叩かれに通った辛抱を思えば――と、彼は、我慢の膝に、拳をついていた。

とん、とん、

誰か、二階から降りてくる。

(さては、稽古が終わったか)

ほっとしていると、梯子段の上から見たのが、白足袋、袴、紗の羽織――提げ刀をした――いい年配の武家が三人。

「お喜代、草履をだしてくれい」

「お帰りでございますか」

「ム。平清に、寄りあいがあるでのう。――どうじゃ、わしの喉は、近頃は、ずんと、しぶかろう」

「大きい姉さんと、階下で、聞き恍れておりました」

「大きい姉さん? ……。ムム、お蔦のことか、何せい、この家は、上の姉、中の姉、それから、下のと――三人も美人の姉妹がおるので眼うつりがする」

自分の噂をされたので、お蔦も、顔をだして、

「おや、もうお帰り?」

「いたのか」

「いたのかは、ござんすまい」

「でも、昼寝していたじゃないか」

「お声に、聞き惚れてうとうとと」

「うそを申せ」

「ほんと。めッきり、三味線もお巧者になるし……。そのうちに、水神あたりで、しんみり伺わせてもらいましょうかね」

「だが、そちは、嫁に参ったはずではないか。いつまで、ここにもおるまい」