Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

新八は顔をそむけた。

彼の顔から、皮肉や嘲弄の色が消え、途方にくれたような、困惑の表情があらわれた。おみやの言葉にはなんの飾りもないし、笑われることも、罵られることも怖れない勇気があった。自分の罪や、汚れた過去を認め、そこからぬけだして、生れ変ってみるつもりだという。新八の皮肉や嘲笑をも避けようとはせず、面上にすすんで唾を受けようとする態度が、新八をしぜんと怯ませたようであった。

「あたしあなたには悪いことをしたわ」とおみやは続けた、「いまさらお詫びを云っても取返しはつかないし、口でお詫びをしようとも思わないわ、それよりあたしお願いがあるの」

「よしてくれ、それだけはまっぴらだ」

「お願いよ、新さん」

「云うことはわかってるんだ」

「ひと言だけ聞いてちょうだい」

「いやだ、それだけはよしてくれ」と新八は首を振った、「あんたは自分の好きなようにできる、この家と縁を切り、柿崎さんと縁を切り私と縁を切って、新らしくやり直すこともできる、だが私は捕われたけものだ」

「だからそのことを」

「いや、たくさんだ」と新八は乱暴に遮った、「私は脱走者だ、外へ出ればいつどこで伊達家の者に捉まるかもわからない、捉まれば殺されるにきまっているし、この家にいたって安全じゃない、柿崎さんは私の保護者のような顔をしているが、心でなにを企んでいるか