Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
島田の住居と扱所とは、もとより細長い一つ家を仕切ったまでの事なので、彼は出勤といわず退出といわず、少なからぬ便宜を有っていた。彼には天気の好い時でも土を踏む面倒がなかった。雨の降る日には傘を差す臆劫を省く事が出来た。彼は自宅から縁側伝いで勤めに出た。そうして同じ縁側を歩いて宅へ帰った。
こういう関係が、小さい健三を少なからず大胆にした。彼は時々公けの場所へ顔を出して、みんなから相手にされた。彼は好い気になって、書記の硯箱の中にある朱墨を弄ったり、小刀の鞘を払って見たり、他に蒼蠅がられるような悪戯を続けざまにした。島田はまた出来る限りの専横をもって、この小暴君の態度を是認した。
島田は吝嗇な男であった。妻の御常は島田よりもなお吝嗇であった。
「爪に火を点すってえのは、あの事だね」
彼が実家に帰ってから後、こんな評が時々彼の耳に入った。しかし当時の彼は、御常が長火鉢の傍へ坐って、下女に味噌汁をよそって遣るのを何の気もなく眺めていた。
「それじゃ何ぼ何でも下女が可哀そうだ」
彼の実家のものは苦笑した。
御常はまた飯櫃や御菜の這入っている戸棚に、いつでも錠を卸ろした。