Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
しかしその他の点について彼は全くの無我夢中であった。
二人の生活は僅かの間しか続かなかった。物質的の欠乏が源因になったのか、または御常の再縁が現状の変化を余儀なくしたのか、年歯の行かない彼にはまるで解らなかった。何しろ彼女はまた突然健三の眼から消えて失くなった。そうして彼は何時の間にか彼の実家へ引き取られていた。
「考えるとまるで他の身の上のようだ。自分の事とは思えない」
健三の記憶に上せた事相は余りに今の彼と懸隔していた。それでも彼は他人の生活に似た自分の昔を思い浮べなければならなかった。しかも或る不快な意味において思い浮べなければならなかった。
「御常さんて人はその時にあの波多野とかいう宅へまた御嫁に行ったんでしょうか」
細君は何年前か夫の所へ御常から来た長い手紙の上書をまだ覚えていた。
「そうだろうよ。己も能く知らないが」
「その波多野という人は大方まだ生きてるんでしょうね」
健三は波多野の顔さえ見た事がなかった。生死などは無論考えの中になかった。
「警部だっていうじゃありませんか」
「何んだか知らないね」
「あら、貴夫が自分でそう御仰ったくせに」
「何時」