Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
彼はよそを真闇にして置いて、出来るだけ強烈な憎悪の光をこの四字の上に投げ懸けた。細君はまた魚か蛇のように黙ってその憎悪を受取った。従って人目には、細君が何時でも品格のある女として映る代りに、夫はどうしても気違染みた癇癪持として評価されなければならなかった。
「貴夫がそう邪慳になさると、また歇私的里を起しますよ」
細君の眼からは時々こんな光が出た。どういうものか健三は非道くその光を怖れた。同時に劇しくそれを悪んだ。我慢な彼は内心に無事を祈りながら、外部では強いて勝手にしろという風を装った。その強硬な態度のどこかに何時でも仮装に近い弱点があるのを細君は能く承知していた。
「どうせ御産で死んでしまうんだから構やしない」
彼女は健三に聞えよがしに呟やいた。健三は死んじまえといいたくなった。
或晩彼はふと眼を覚まして、大きな眼を開いて天井を見詰ている細君を見た。彼女の手には彼が西洋から持って帰った髪剃があった。彼女が黒檀の鞘に折り込まれたその刃を真直に立てずに、ただ黒い柄だけを握っていたので、寒い光は彼の視覚を襲わずに済んだ。それでも彼はぎょっとした。半身を床の上に起して、いきなり細君の手から髪剃をぎ取った。