Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
五十六
彼は憐れになった。紙入の中から三枚の一円紙幣を出して細君の手に握らせた。
「見っともないからこれで下駄でも買ったら好いだろう」
細君が帰ってから幾日目か経った後、彼女の母は始めて健三を訪ずれた。用事は細君が健三に頼んだのと大同小異で、もう一遍彼らを引取ってくれという主意を畳の上で布衍したに過ぎなかった。既に本人に帰りたい意志があるのを拒絶するのは、健三から見ると無情な挙動であった。彼は一も二もなく承知した。細君はまた子供を連れて駒込へ帰って来た。しかし彼女の態度は里へ行く前と毫も違っていなかった。健三は心のうちで彼女の母に騙されたような気がした。
こうした夏中の出来事を自分だけで繰り返して見るたびに、彼は不愉快になった。これが何時まで続くのだろうかと考えたりした。
五十六
同時に島田はちょいちょい健三の所へ顔を出す事を忘れなかった。利益の方面で一度手掛りを得た以上、放したらそれっきりだという懸念がなおさら彼を蒼蠅くした。健三は時々書斎に入って、例の紙入を老人の前に持ち出さなければならなかった。
「好い紙入ですね。へええ。外国のものはやっぱりどこか違いますね」