Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
「だって仕方がないよ」
健三の返事も簡単であった。彼は其所へ落付くまでの筋道を委しく細君に話してやるのさえ面倒だった。
「そりゃ貴夫の御金を貴夫が御遣りになるんだから、私何もいう訳はありませんわ」
「金なんかあるもんか」
健三は擲き付けるようにこういって、また書斎へ入った。其所には鉛筆で一面に汚された紙が所々赤く染ったまま机の上で彼を待っていた。彼はすぐ洋筆を取り上げた。そうして既に汚れたものをなおさら赤く汚さなければならなかった。
客に会う前と会った後との気分の相違が、彼を不公平にしはしまいかとの恐れが彼の心に起った時、彼は一旦読みおわったものを念のためまた読んだ。それですら三時間前の彼の標準が今の標準であるかどうか、彼には全く分らなかった。
「神でない以上公平は保てない」
彼はあやふやな自分を弁護しながら、ずんずん眼を通し始めた。しかし積重ねた半紙の束は、いくら速力を増しても尽きる期がなかった。漸く一組を元のように折るとまた新らしく一組を開かなければならなかった。
「神でない以上辛抱だってし切れない」
彼はまた洋筆を放り出した。赤い印気が血のように半紙の上に滲んだ。