Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
「つまり百円で買って遣ったようなものだね」
比田と兄はまた話し合った。健三はその間に言葉を挟むのさえ厭だった。
二人が帰ったあとで、細君は夫の前に置いてある二通の書付を開いて見た。
「こっちの方は虫が食ってますね」
「反故だよ。何にもならないもんだ。破いて紙屑籠へ入れてしまえ」
「わざわざ破かなくっても好いでしょう」
健三はそのまま席を立った。再び顔を合わせた時、彼は細君に向って訊いた。――
「先刻の書付はどうしたい」
「箪笥の抽斗にしまって置きました。」
彼女は大事なものでも保存するような口振でこう答えた。健三は彼女の所置を咎めもしない代りに、賞める気にもならなかった。
「まあ好かった。あの人だけはこれで片が付いて」
細君は安心したといわぬばかりの表情を見せた。
「何が片付いたって」
「でも、ああして証文を取って置けば、それで大丈夫でしょう。もう来る事も出来ないし、来たって構い付けなければそれまでじゃありませんか」
「そりゃ今までだって同じ事だよ。そうしようと思えば何時でも出来たんだから」
「だけど、ああして書いたものをこっちの手に入れて置くと大変違いますわ」
「安心するかね」