Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
二十二
彼は生きているうちに、何かし終せる、またし終せなければならないと考える男であった。
彼がその余分の仕事を片付けて家に帰るときは何時でも夕暮になった。
或日彼は疲れた足を急がせて、自分の家の玄関の格子を手荒く開けた。すると奥から出て来た細君が彼の顔を見るなり、「あなたあの人がまた来ましたよ」といった。細君は島田の事を始終あの人あの人と呼んでいたので、健三も彼女の様子と言葉から、留守のうちに誰が来たのかほぼ見当が付いた。彼は無言のまま茶の間へ上って、細君に扶けられながら洋服を和服に改めた。
二十二
彼が火鉢の傍に坐って、烟草を一本吹かしていると、間もなく夕飯の膳が彼の前に運ばれた。彼はすぐ細君に質問を掛けた。
「上ったのかい」
細君には何が上ったのか解らない位この質問は突然であった。ちょっと驚ろいて健三の顔を見た彼女は、返事を待ち受けている夫の様子から始めてその意味を悟った。
「あの人ですか。――でも御留守でしたから」
細君は座敷へ島田を上げなかったのが、あたかも夫の気に障る事でもしたような調子で、言訳がましい答をした。
「上げなかったのかい」
「ええ。ただ玄関でちょっと」