Classici giapponesi con furigana
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みちくさ
道草
Leggi 道草 (みちくさ) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.812 caratteri · 293 schermate
しかしいざという場合には、突然現在に変化しなければならない性質を帯びていた。
彼の頭には願仁坊主に似た比田の毬栗頭が浮いたり沈んだりした。猫のように顋の詰った姉の息苦しく喘いでいる姿が薄暗く見えた。血の気の竭きかけた兄に特有なひすばった長い顔も出たり引込んだりした。
昔しこの世界に人となった彼は、その後自然の力でこの世界から独り脱け出してしまった。そうして脱け出したまま永く東京の地を踏まなかった。彼は今再びその中へ後戻りをして、久しぶりに過去の臭を嗅いだ。それは彼に取って、三分の一の懐かしさと、三分の二の厭らしさとを齎す混合物であった。
彼はまたその世界とはまるで関係のない方角を眺めた。すると其所には時々彼の前を横切る若い血と輝いた眼を有った青年がいた。彼はその人々の笑いに耳を傾むけた。未来の希望を打ち出す鐘のように朗かなその響が、健三の暗い心を躍らした。
或日彼はその青年の一人に誘われて、池の端を散歩した帰りに、広小路から切通しへ抜ける道を曲った。彼らが新らしく建てられた見番の前へ来た時、健三はふと思い出したように青年の顔を見た。
彼の頭の中には自分とまるで縁故のない或女の事が閃いた。